
世界で一番過小評価されているミュージシャンはポールかもしれない。時々そんなことを考えてしまう。ポールは常に批判と戦ってきた。特にビートルズ解散後、ポールに賛辞より批判のほうが多くなったのは事実。ずいぶん最近はビートルズが神格化されたけれど、それは今でもさほど変わらない。
なぜポールはそんなに批判されるのだろうか。ソフトだとかロックじゃないとか言われるけれど、公平に見てもポールほどロックンロール歌わせてクールに歌える奴も少ないけれど。のっぽのサリーなんてポールのために書かれた曲じゃないかと思いたい時もある。かといって、アイ・ウィルを歌うポールには深い万能性も感じる。ポールは音楽の幅が広すぎたのかもしれない。だから一面だけ取り上げられては酷評されてしまう。
しかし、よく思い出すけれど、ビートルズだろうが洋楽だろうが、僕はポールが作った音楽を聴いて感動したしそれで育った。今は接し方も変わったのは事実だけれど、ポールの作品にどれだけ「音楽で感動すること」を教わったか知れない。ジョンの作品を知り始めたのはもっともっと後だった。
ポールがいなかったらビートルズも音楽も、もっと言えば自我にさえ目覚めなかったかもしれない。そのくらい最初に僕に衝撃的な「音楽との出会い」を与えたのは、今思えばジョンよりもポールの作品だった。もちろん今でもそのほとんどが好きだけれど。
バンドを組んで、ベースのコピーしてどれだけポールの才能にぶっ飛んだことだろう。ギターでミッシェル弾いて、おそろしく美しい不協和音に初めて出会った感動を今も鮮明に思い出す。ヘルタースケルターに参ったし、バンドオンザランではあの過激な展開が麻薬のように好きになった。ポールがやることは何でも当たったし、クールだった。
そしてその音楽の広さゆえ、ポールは批判され続けてきた。
しかし、僕と同じようにポールに教えてもらった音楽が、初めての音楽との出会いだった人も実は相当多いはずだ。人は成長とともに、過去を捨てていく。しかし、いつか、過去を大切になるとき、その過去になにより感謝することになる。
ジョンをなくしたとき、どれだけの「過去ビートルズファン」がジョンファンになって戻ってきたことか。そしてジョンへの批判はそれ以来消えた。ジョンも生前は批判の対象だったけれど、ポールも最後まで批判を受けるのだろうか。
ポールは偉大な過去を葬り去るために、解散後から戦ってきた。それは今も続いているのだろう。ビートルズという過去を背負うポールの過去は他の誰よりも、比類なく大きい。
思い出したけれど、僕がギターの次に買った楽器はリッケンバッカーのベースだった。ポール、クール!
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